エクス・イグナイト キャラシート

エクス・イグナイトは、第2代ポンメル男爵スィー・イグナイトの第10子として、産まれながらに腕無しの不具、出来損ないとしてこの世に生を受けた。

彼の家系は"顧みられぬ騎士(イグノア・ナイト)"の末裔であり、異端審問官や処刑執行人、政敵暗殺等の仄暗い仕事を請け負う汚れた血統であり、柄頭(ポンメル)は常に王国の影であり続けていた。

不具の出来損ないであったエクスは腕無し故に親兄弟から虐待され、彼の傍らに居るのはエクスと同じく不具の出来損ない───片目無しの第9子、イクスだけだった。

ある時、兄イクスは弟に提案したと言う。

「このままこの家に居続けても暗い部屋の中で飢え死にするだけだ。ここを出ていこう。そしてここじゃないどこか、ぼく達が虐げられない自由なところへ───」

この時イクスの歳は5つ、エクスは3つであったのだが、エクスは幼いなりに兄の言わんとしていることを理解していた。

───家を出た所で行く宛などどこにもない。外で生きていける筈もなく、どうせ飢え死にすることは避けられない。それでもここで死ぬよりはマシだ。どうせ死ぬなら、空を見ながら死のう。

兄弟の覚悟は悲壮であった。

屋敷を脱出した兄弟はひたすらに歩き続けた。初めて見た暗い部屋の外、往来の景色は光に慣れぬ兄弟の目には眩く思えた。そして、兄弟は1人の少女に目を留めた。

歳はいくつか上に見えた。貴族なのだろう、仕立てのいい華やかな純白のワンピースを着ていた。そう、その少女は何もかも白かった、瞳孔に嵌った2つのルビーの瞳を除いては───、唯ひたすらに白く、白く、白、白、白!

往来の中で間違いなく、少なくとも兄弟の目にはもっとも輝いて見えた。

───羨ましい。アイツはぼく達が持っていないモノを全て持っている。

ルサンチマンが少年達の心に黒い染みの様に広がっていく。見当違いの嫉妬心は、兄弟に欠けていたある感情、汚い生存欲求に変化した。

つまりは、狙いは少女の肩に掛けているバッグだった。

つまりはそう、強盗を企てたのだ。そして───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でもさ、騎士ってそういうもんじゃあないかな。僕たちは───、婦女子や虐げれる弱者、傷付いた者を守る為に命を捨てる誓いを立ててる。『騎士は───、端から生きようなどとは考えないし、考えちゃいけない』わからないとは言わせない」

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エクス・イグナイト

身長:159cm

出身:パンタシア南部 シエラーダ王国

ナイツロード本部 剣課 101年入団(当時15歳)

 

概要:エクス・イグナイトは、対外的には人懐っこく社交的な少年として知られている。神出鬼没で何処にでもいて、杖課の研究室にいることもあれば鎚課の工房を借りて何やら製作している所を見た者もいる。

産まれながらに腕の無い彼はペイジ(騎士見習いとして他家に召抱えられた者)の頃に主人から義手を賜っており、これを使いこなす為に様々なことをやってきた。剣術は言うに及ばず、楽器演奏や魔法陣の記述に機械工作。思いついたこと、興味を持ったものは何でも試し、身に付けてきた。幼いながらにエクスは、新たな物事を知る歓び、勉強することの楽しさを知っているのだ。

最愛の兄は異歴95年のとある出来事によって死んでしまった。兄弟共に尊敬していた"あの人"の身代わりになったのだ。騎士らしい栄誉ある死だったと納得しているし、エクス自身、同じ様に死ねるなら本望だろう。

先駆後駆(さきがけしんがり)が信条であるエクスの戦い方は、勇敢であるようにも見え、だが危なっかしいものでもある。

 

一人称:僕

二人称:君、〇〇ちゃん、〇〇さん、おまえ

三人称:あの子、あの人、あいつ

 

好きなもの:勉強や修練(手を動かせるものならなんでも)、サンドイッチ…できればトマト入り(すぐ食べ終わるから)、ブラッドソーセージ(任務後によく食べる)、クラシック音楽、年上の人に甘えること、栄光

嫌いなもの:努力しない人間、生き恥、揚げ物(昔フィッシュ&チップスで当たった)、他人に心配されること

特技:ピアノ演奏、痛みを我慢すること

普段の行動:よくいるのは訓練所で次に杖課、或いは鎚課。たまに孤児院に行ってピアノを子供達に聴かせていたりもする。どうも曜日によって行く場所を決めているらしい。剣課なので歳の割に稼いでいるはずだがその稼ぎの多くは教会に寄付しているので残高はあまりないが、本人はこれを清貧と嘯いている。常に何かしら作業をしていて、食事は面倒臭いので軽食で済ませている。任務の前日は必ず教会でお祈りをしているが、そうでない日でも立ち寄ったりすることもある。

 

能力:贄血の魔法"御心の刃"

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流血した自身の血液を魔力に変換して発動する広義の生贄魔術に分類されるもの。少ない魔力、或いは魔力消費無しで撃てるこの魔法は、元々は魔力が尽きた時の非常用、或いは魔力に乏しい者が使う"貧者の魔法"であった。

だが特定地域ではこの魔法を、手負いの騎士が最期の散り際に放つ自爆攻撃としての運用を見出され独自の発展を遂げていった。その最たるものが心臓に刃を突き立て剣身を血に染めることで発動する「御心の刃」であり、これは贄血の魔法の中でももっとも誉高い魔法とされ、故にその国では"赤"は最優の象徴でもあった。

この"栄誉の魔法"は自身の命と引き換えに放つ大規模魔法だが、エクスは治癒魔法を並行して使用することで強引に連発を可能としている。正気の沙汰ではないが、故に強い。

 

 

☆エクス・イグナイトの使い方☆

エクス・イグナイトは一見人懐っこい子猫のようなキャラに見えます。好奇心が旺盛で興味を持ったものは何であれ、それをよりよく知りたいとせがむことでしょう。誰と絡ませても違和感は少ない筈です。

 

例えば───

彼はデルタ・アリーシアの製作する様々な機械に対してきっと関心を持つことでしょう。デルタから教えてもらった知識を自分の義手に組み込んだりすることもあるかもしれません。

また彼はベルベット・ブラートの身体に興味を惹かれることでしょう。ベルベットが自分の身体を詳しく観察させるかは分かりませんが。

 

とはいえ、エクスもまた騎士の端くれ。相性がいいのはやはり剣術を扱う人間かもしれません。

 

例えば───

彼はヒート・スピリアに対してある種のシンパシーを覚えることでしょう。彼女の強さへの執着はエクス自身重なる所がありますし、性格面の相性も多分いいでしょう。あと彼女の思わせぶりなコミュニケーションにエクスが何か"勘違い"することもないでしょう。彼はそこら辺さっぱりしているので。

 

また彼はフェダ・ドゥランの巧みな魔法と剣術の技に魅了されることでしょう。フェダの技術を獲得する為に躍起になるに違いありません。

 

一方で彼はいささか無私が過ぎる一面があり、側から見れば命を捨ててるように見える行動を取ることもありますが、そういう時彼は決まって「男の子なんだから、これくらいへっちゃらだよ!」と嘯きます。

それに対して"まぁ、本人がそう言ってるなら"と思うキャラもいれば"おいおい本当に大丈夫かよ"とツッコむキャラもいるでしょう。

この破滅思考の根源は最愛の兄の死(少なくとも彼は死んだと思っている)によるものであり、兄の死が英雄的であったと自分を納得させ自分もそれに殉じようという考えからくるものです。

また、エクスはあの人のことを恨まないようにしていますし、仕方なかったことだと思っています。彼は未だにあの人のことを尊敬していますし、あの人の為に命を投げ捨てることもきっと厭わないでしょう。もっとも、あの人は後ろめたさもあってかエクスのことを避けているようですが。

 

 

最後に、エクス・イグナイトは"異名同音"をテーマにその成り立ちを再設定しました。即ち彼は"重嬰へ"であり"重変イ"なのですが───、このことについて考える必要はないでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───この話から得るべき教訓は次の通りだ。

"襲う相手は良く吟味しろ"

兄弟2人はこともなげに返り討ちにされた。