イクスメモ:思い付いた拳法・技

イクス・イグナイトはかつて騎士を志していた身でありながら今ではもっぱら徒手空拳で戦っているよーわからん男である!

これは彼の面倒見役であるP.C.が積極的に拳法の類を身につけるよう彼に勧めた影響だ。イクスの高いフィジカルを更に活かす為、そして何より彼の傷付いた精神を癒す為に拳法を通して心身を鍛えるのが目的だ。

その結果今ではすっかり拳法オタクになったイクスは、これまでに習得・考案した拳法や技を律儀にメモとして残している。ここでは彼の記した拳法・技のメモの一部を見てみよう!

 

 

 

 

 

ブロウラー
・両拳による素早い打撃とスウェイによる遠近自在のフットワークが特徴的な戦い方。"力は込めずに、だが鋭く"がコツだそうだ。
・両手がフリーだから『C・モール』も並行して使いやすい。いい構えを教えてもらった。
・P.C.はストリートでの喧嘩でよくこの戦法を取っていたらしい。なんでも「ボクシング」を参考にしたとかいう話だ。

 

破楼拳
・力強く地を踏み締めるステップでの急接近と、肘打ちや背撃を主とした極至近距離での一撃に賭けた拳法
・身体が触れ合うような至近距離では普通、パンチのストロークがない分ろくな攻撃はできないが、「破楼拳」なら充分以上の威力で攻撃できる。
・チノは信用できるわけではないがどうでもいい。殺すなら殺せばいい。どうせ死ぬ為にここに来たのだから。

 

居手返いしゅがえし雪撫ゆきなで
・「居合」という技術がある。敵の不意打ちを高速の抜刀でいなし、返す刀で切り伏せるというものだそうだ。
フリッカージャブの要領で敵の獲物を鋭く弾けば大きい隙を作り出せる。そうして弾いて敵の体制を崩し、敵の背後を取れる。
・こうした戦い方を"後の先"というらしい。
・ここの所チノが対武器を想定した備えをしておけとうるさいことこの上ない。別に異存はないのだが。

 

硬気打かたきうち氷伏ひぶせ
・「居合」は不意打ちをしのぐ技術だが、中にはその攻撃の初速を活かして逆に不意打ちをする為に、いわゆる「辻斬り」にこの技術を使う不逞の輩がいるそうだ。
・脱力して放つ素早いジャブで相手の不意を突き、気勢をそいだ敵に続け様に追い打ちをかける。手を出される前に先手を打てば、相手に何もさせずに打ち倒せる。
・こうした戦い方を"先の先"というらしい。
・ここの所チノがやたらとウォーネスさんとの訓練は参考になるからとけしかけてくる。その癖当人はその場に絶対現れない。実際勉強になるので異存はないのだが。

 

還打かえりうち尾根冠おねかむり
・「武器で突く」という攻撃は貫通力にすぐれ威力が高い分、重心が前にかかるのでいなされるとバランスを崩しやすい。カウンターのチャンスだ。
・相手の攻撃より一瞬こちらが早く仕掛け、相手の突きを肘打ちで叩き落としすかさず「破楼拳」……具体的に書けば「鉄山靠」を叩き込む。
・コレが1番痛いカウンターだそうで、"体格の大きく重い"相手ほど有効だそうだ。……やたらとこの点を強調されたのでよほど重要なことなのだろう。
・こうした戦い方を"対の先"というらしい。
・(追記)所でディープがこっそり教えてくれたところによると、チノとウォーネスさんの間にはどうも並々ならぬ因縁があるそうだ。チノの思惑はどうあれ勉強になったのは確かなので、感謝の念を込めてこの技を最大出力でぶちこんでやった。これで二度と人を使って意趣返ししようなどというくだらない考えを持つことはないだろう。多分。
・(追記)ことの顛末をウォーネスさんに話したら口を手で押さえてプルプル震え始めた。どうも双方考えは同じだったらしい。俺は知らなかったが、15の子供を捕まえて代理戦争を仕掛けるというのは余程楽しいことらしい。申し訳なさそうにしていたディープが印象的だったがおまえも共犯だろ!

 

バリツ
・ビッグニュース!誕生日プレゼントに貰ったステッキはなんとファッション用ではなく武器として贈ったものらしい。そうならそうと言ってほしい。サナは余計な悪口はガトリングみたいにポンポン出てくるのに肝心なことは何も言わない。
・仕方ないのでステッキを使った戦い方を考えてみる。見ようによっては刺突剣に見えなくもないのでエスクワイア時代に習った剣術が参考になるかもしれない。
・半身に構えて胸の前に添えるように構える。突きが主体の構えだ。
・フィリアスさん曰くレイピアは防御が重要だそうで、相手を切るよりもまず自
・昔のことを考えるのはこれきりだ、夕飯代もタダじゃない。
・最近知ったことだがどうもフィリアスさんが本部の方に入団していたらしい。彼氏もできたとかなんとかで幸せそうだ。それでいい、俺達のことなんか忘れて幸せになるべきなんだ。あの

 

ドランカーズ・ステップ
・ある日の任務中ラッキーマンがマシンガンで狙われる事態があった。アイツはその時ベロンベロンに酔っててフラフラだったが、その千鳥足で敵の銃弾をなんなくかわし逆に殲滅してしまった。あの動きは使えるかもしれない。別に銃弾をくらったところで痛くも痒くもないが、帽子に穴が開くのはごめんだ。
・不規則な足運びでのらりくらりと敵弾をすかし、足の運び先を相手に悟られずに"ぬるり"と相手に接近する。余計な考え事をせず身体が動きたいように任せるのがコツか。
・この技を試してみたいのでサナにマシンガンの1つでも撃ってもらえないかと頼んだがにべもなく断られた。死ぬ訳でもなし別にいいと思うのだが、どうもサナの中では俺はまだ弱っちいハナタレのガキ扱いらしい。
・所で、ラッキーマンの使う「酔拳」は名前の通り酔ってないとできないものだと聞いていたのだが、ユエラオが言うにはあくまで酔っ払いのような動きだから「酔拳」なのであって別に酒を飲む必要はないらしい。それっぽい嘘つきやがってラッキーマンめ。

 

ピーコック・スタイル
・P.C.が珍しく本気の手合わせをしているところに出くわした。最近はシンドイとかなんとか言い訳して俺との手合わせはしない癖に、わからんヤツだ。
・相手は鳥人だったのだが、空中からの攻めというのは中々に捌き辛いように見える。最近手に入れたあの能力で戦い方を再現できそうだ。
・『ビヨンド・ザ・C』で腕を翼に、脚を鉤爪に変え、空中から蹴り技を仕掛ける。ただ飛ぶだけでなく機敏に位置取りを変えることで敵を翻弄できるだろう。
・(追記)後で聞いた話ではあの鳥人はP.C.の同期で馴染みらしい。なるほど本気になる訳だ。参考までにその同期の鳥人に戦い方について聞いてみたいなどと言ってみたら苦い顔をして「やめとけ」と言われた。「おまえがアイツの弟子になるとかなんかヤダ」とのことだが、別に弟子になるなんて俺は一言も言っていない。
・(追記)件の鳥人と話す機会があったのでP.C.との手合わせで使っていた武術について尋ねてみたら、急にヨ◯ハマタイヤみたいな顔をしながら「弟子になる?弟子になるゥ?」などと粘着的なボディタッチをしながらものすごい勢いで絡んできた。普通に怖かったのでなんとか逃げてきたが、P.C.の言っていたことはよく分かった。下手に関わるといつの間にか弟子ということにされてそうだし、なによりアレの弟子になるのはなんかヤダ。

 

呀流拳法
・マギーア界陸での遠征任務の際に「呀」の派閥の構成員と交戦した。彼等はおもしろい拳法を使っていた。
・拳法でありながら、衝撃波等の遠距離攻撃が主体であるという珍しいものだ。俺も少し強めに打てば拳圧で攻撃できはするが、彼等のやり方はより洗練されているように見える。
・この拳法は獣人が使うことを前提としている。よって使う際は『ビヨンド・ザ・C』で変身する必要がある。とりあえず犬型になることにした。
・この拳法の基本は「錬氣」だ、特定の構えを取ることで「獣氣」を練り上げコレを飛び道具や自身の身体の回復などに転用できる。
・気を練る際の構えは特に定まってないらしいので自由度が高い。俺は片方の手を握り拳にした合掌という構えで練ることにした。戦闘中でも肘打ちの要領で攻撃しつつこの構えを取ることで素早く「錬氣」できる。
・彼等は基本的に正拳突きや蹴りで衝撃波を出していたが、これはこちらで「手刀」を放つことによって「斬撃」を飛ばしたり「貫手」で放つことで貫通性を増すようにするなど独自にアレンジさせてもらった。
・この拳法を習得する為にわざわざ長期休暇を取ってマギーア界陸に赴き、「呀」の派閥の構成員に手当たり次第襲撃をしかけることで実戦でコレをモノにした。まさかVICEに弟子入りする訳にもいかなかったのでこうするしかなかった。別に悪いとは欠片も思ってないが。死人は出していないはずなのでむしろ有情だと思う。
・これは拳法とは関係ない余談だが、馬の獣人が戦闘中に突然全裸になりだした時は流石に参ってしまった。やたら露出度の高い服を着たがったりタイトな服で線を強調してみたり……獣人の女はあーいうのばかりなのだろうか。
・(追記)シェルトの前ではもう使わない。絶対に。二度と!!

 

武嶺打ぶれいうち黒駆くろがけ
・「錬氣」によって気が練り上げられてる間は変身の維持によるスタミナ消費が抑えられていることに気がついた。この間は体力を気にせずに多少跳んだり跳ねたりしても問題なさそうだ。
・地を蹴る跳躍で縦横無尽に飛び回り敵を撹乱する。深いことは考えずに衝動に任せて体を動かすといい気がする。
・もちろん「ピーコック・スタイル」と併用してもいい。更なる高速飛行が可能だろう。
・その気になればブラッドオーバーもできそうな気がするが、都市部ではオーバーパワーすぎる。練習ぐらいはしといてもいいか。

 

 

何かまた思いついたら追加するかもしれない。

北極猿、ブライアン キャラシート

これは、マギーア界陸のとある貴族に起きた悲劇だ。その赤子は"多毛症"と"アルビノ"を併発してこの世に生を受けた。産んだ母親は子の姿を見た瞬間に気絶した。父親は狂乱して母親と子を詰った。
子の存在は世間的には無かったことにされ、4歳の頃に奴隷商人に売り渡された。

少年の買い手はサーカス旅団の団長だった。
サーカスで少年は人としての勉強を教わることはなく、ただ芸のみを教え込まされた。団長は少年を"猿"として扱っていた。
少年もまた自分を"猿"だと思っていた。前の親も今の親も、人として扱ってくれる者がいなかったからだ。

少年には異能があった。遠くの物体を手で掴んで放るように操ることができる。
「猿の遠隔お手玉」はサーカスのちょっとした目玉となった。少年はその風貌から「北極猿」と呼ばれた。
もっとも、目玉となっても少年の扱いは変わることはなく相変わらず家は動物用の檻だったし、客も彼を猿と思っていた。

「北極猿」が注目されたことが結果的にはサーカスにとっては致命的になった。
獣人を奴隷扱いし金儲けしていると勘違いした「呀」の派閥に襲撃され、北極猿は「呀」の派閥に迎え入れられた。
だが扱いは今も変わらない。派閥の皆は少年を"猿"だと思っているし、少年も自分を"猿"だと思っている。

───「呀」の派閥は獣人の集い、そこに人は居ない。今や少年の周りには数多の獣人がひしめき合っていたし、派閥の皆は少年を同胞として扱った。

「北極猿」は幸せだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウキィィイイイキキャキャアアァ──────ッッ!!!」

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(本名不詳)

身長:162cm

異名:北極猿、ブライアン

出身:マギーア界陸ラグライア

VICE:呀の派閥 猪勇士配下 中級戦闘員 年齢不詳

 

概要:ブライアンは猿だ。少なくとも周りの人達からはそう思われて生きてきた。教育の類は受けさせてくれなかったので字の読み書きはできないし、話もつたない。それでも愛嬌はあったのでどうにかこうにか今まで生きてこれた。

ブライアン自身が自覚してそうしている訳ではないが、彼は皆に"猿"として可愛がられることで自らの立場を築いてきた。人の生き方ではないがそれが彼なりの処世術だったのだろう。

だが「呀」の派閥に入ってから彼は皆から対等に扱われるようになった。この変化に当初は困惑していたようだが、徐々に受け入れ始め今では中級戦闘員として活躍している。

ブライアンは素直だ。そして無邪気であり幼い。可愛がられるのはここでも変わらないようだ。

 

一人称:ゥオレ

二人称:オマエ

三人称:アイツ

口癖は「ウキッ」「キィッ」「ウキィイイイィアァアア──────ッ!!!」等

好きなもの:スースに頭を撫でられること(頑張ったら、パパ、ウ、ゥオレのこと、なでてくれる)、皆に可愛がられること(ゥオレも、みんなのこと、だいすき……!)

嫌いなもの:頭を使うこと、勉強

特技:遠隔お手玉

普段の行動:力仕事があればブライアンに頼むとよい。物運びなどの雑用はブライアンの十八番だ。余興が必要ならそれもやはりブライアンの出番だ。サーカス時代に学んだ芸を見せてくれるだろう。ブライアンが仕事を終えたら頭を撫でてやるとよい。

 

能力:『テディ・ピッカー』

離れた物体を掴むことができる一種のテレキネシスとでも言うべき異能。

より正確に言えば本体の手の動きと連動する不可視のオーラを高速で飛ばす能力であり、対象が遠くであれば遠くであるほど能力で干渉するまでにラグが発生する。

本体の握力は凄まじいものがあり、ただ遠くの物体を掴むだけのこの能力はただそれだけで充分な破壊力がある。

 

⭐︎北極猿、ブライアンの使い方⭐︎

ブライアンはずばり"マスコット枠"として作りました。つまり小さく、幼く、無邪気というのがブライアンです。

ブライアンにとってスースは「パパ」であり、"呀"の派閥の皆は「兄」であり「姉」です。なんであれ可愛がってあげるといいでしょう。

そしてブライアンは皆の為に身を粉にして働くことを苦に思わないでしょう。

 

例えば───

ブライアンはスースに親愛の情を寄せています。ブライアンの行動理念は概ねスースに褒められることが目的と言っていいでしょう。

 

例えば───

ブライアンはミフネと遊ぶことがあるかもしれません。

話が通じ合ってるかは分かりませんが。

 

頭はよくありません。小難しい話は理解できないでしょう。話の仕方は「12+24……は、う、うーん……わがんねぇよう、ゥオレェエ……!」といった具合です。

忘れてはいけません。ブライアンは"猿"なのです。皆にとってはね。

イクス・イグナイト キャラシート

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イクス・イグナイト

身長:232cm

異名:全休止のイクス

出身:パンタシア南部シエラーダ王国

ナイツロードテリナ支部 槍課レスト(通称:休符部隊)隊長 96年入団(当時12歳、つまり101年の頃は17歳)

 

概要:イクス・イグナイトがテリナ支部に入団してきた時はちょっとした話題になったという。銃と火薬が支配するテリナに、パンタシアから来た少年騎士といういかにも似つかわしくない人間が入ってきたからだ。

この金髪金眼の男は朴訥でややシャイだが真面目かつ紳士的であり、心中に確かな正義感を持ち合わせている(本人にその気はあまりないが)。成長した今ではややシニカルな物言いもするようになったが根底は変わらない。初対面の者はそのがたいと鋭い面相に気圧されるだろうが、話してみれば存外寛容な人間なのが判るだろう。

ただし、気心の知れた仲間内では口調がぶっきらぼうになる。イクスが敬語で話すのをやめたのならば、それは彼が心を開いた証だ。

 

故あって彼は本部には余り立ち寄らないようにしている。顔を合わせづらいが居るようだ。

ほんの1、2年前まで彼は心を患っており、眠ることもままならなかった。最近になって少しずつ症状は和らいできたが、その人物と出会ったならば彼は正気ではいられなくなるだろう。

それでも彼はまだ、あの人のことを尊敬しているのだが。

 

かつては死ぬ為だけに生きているような状態だったが、最近は"未練"ができたらしい。

 

一人称:俺、わたくし

二人称:おまえ、貴様、貴方、貴女

三人称:あいつ、奴、あの方

(そとづらでは敬語を話す、彼は紳士なのだ)

 

好きなもの:自然や動物(ユエラオの影響)、武術や拳法の習得・考案(P.C.やチノの影響)、紅茶、甘いお菓子(最近のお気に入りはゴーフル。帽子の中に常備している)、シエラーダ産のドラフトサイダー(チャーナ産のは馬の小便だと思っている)、レバー肉、リボルバー式拳銃、サナと一緒にいること(さも当然かのように横に座ったりする)

嫌いなもの:過去を思い出すことや思い出させるもの(特に剣)、苦いもの全般(特にコーヒー)、年下の者(嫌いというより苦手、怖がられるので)、料理(イクス謹製、『殺人フィッシュ&チップス』でヤラレた者が居る為)、キッド(よりにもよって好きなお菓子で1回発狂させられたから)

特技:フィドル演奏、風水

普段の行動:ユエラオから風水を教わっている彼は休日は山や川辺などの自然を見に行くことがある。はたから見ると何が楽しいのかわからないが、風水を嗜む者にしかわからないものがあるのだろう。

その他プライベートではサナやレストのメンバーと一緒にいることもある。人付き合いは悪くない方

また、近頃は教官職をあまりしなくなったP.C.に代わってイクスが教官をすることも増えてきた。本人は乗り気ではないが実際傭兵として優秀であることと、見た目が10代にはとても見えないこともあって評判は良い。

ユエラオの風水占いの手伝いもしたりと忙しい日々だが、こうした日々も悪くないと思えるようになってきた。

これは趣味だが、最近リボルバーも弄るようになった。サナの影響だろうか。

ちなみに彼のマイ銃の名は「オーバーチュア1812」銃身に互い違いに発火魔石を取り付けた携帯型多薬室砲拳銃である。最早人に撃てる代物ではないがイクスはコレを気に入っている。

 

装備

眼帯

ペイジの頃に主人から賜ったもの。これはただの眼帯ではなく先天的に欠如している右眼の代わりを果たすものだ。元々は魔力駆動式であったがこの手の魔道具はある程度魔法の素養がある者ならば容易にハックが可能である為、鎚課の協力を得てテック系のものに改造されている。

 

オーバーチュア1812

前述の通りのリボルバー式携帯型多薬室砲、使用弾薬はライフル弾。銃身側面に互い違いに配置された発火魔石によって弾丸を加速するというイカレた設計思想。常人が撃つと腕が文字通り吹っ飛ぶ為ほぼイクス専用武器。尚、極一部を除いて知人からは殴った方が強いだろうとのことで概ね不評である。

 

ステッキ

紳士の身嗜み、イクスの身長に合わせて作られている為非常に大きく重い。炭素で構成された特殊素材の為全体的に黒色であり、その頑丈さから武器としても使える。もっとも、これを一目見てステッキと認識する者は少ない。端的に言ってこれは"ハンマー"だ。

 

能力:Cツェー・モール

身体から炭素を様々な形態で生み出す能力。周囲の物質と炭素を結合して複合材や化合物も作り出せる。

カーボンナノチューブを編んだワイヤー、『ガット』を繰り出し物体を切断する。全身を炭素繊維の装甲で覆い防御する。一酸化炭素を生み出し敵を昏倒させるなど、応用は様々。

立方晶窒化炭素のような本来なら合成できないものも作り出せる。彼はもしかしたら鎚課に行くべきかもしれない。

弦は特に良く使う技だが弱点もある。導電性が高い為、雷の使い手に対して使用すると感電してしまう。

 

 

今までに習得・考案した拳法

P.C.の勧めで習得した様々な徒手空拳の技。詳しくはリンク先にて。

 

 

マッチョマン

仲間内でのジョークの類。イクスの驚異的フィジカルを指して呼称される。実際何かの能力ではないのかと疑いたくなる圧倒的筋力であり、フリッカージャブで相手を赤い煙に変えるわ戦車をピンボールみたいにぶっ飛ばすわ無茶苦茶する。とある任務では倒壊する観覧車を"ドリブル"して、市街地から外に蹴り飛ばし市民の命を救った。

ただ力任せに暴れるだけかと思えば、P.C.の修行の賜物でむしろ体術にも秀でておりテクニック面やスピードも抜かりがない。

実際イクスの1番の武器と言ったらコレであり、戦闘では弦で相手を牽制し潜り抜けてきた敵に一撃必殺の拳を叩き込む戦術を使う。フィジカルにモノを言わせて突撃すればいいじゃないかと思われるだろうが、彼の所属するテリナ支部都市国家ゲオメトリアにある。全力で走ればソニックブームで周りの建造物が損壊するし、拳圧で一般市民をミンチにする危険性もある。ブルドーザーでドミノ倒しをするような繊細な立ち回りがテリナ支部の団員には求められるのだ。

その気になればC・モールで生み出したダイヤモンドを握り潰す事で炭素爆発を引き起こすこともできる。握力で星の内圧を再現し熱核融合反応を起こすのだ。

上述から分かる通り近接戦では圧倒的アドバンテージを持つ彼だが、弦の届かない射程外の敵や逃げる敵、特に飛行する相手には別途工夫が求められるだろう。

 

その他、ユエラオからインヤンウーシンや風水視(吉凶の流れを目で見て感じ取れる)なども伝授され使用できる。

 

 

☆イクス・イグナイトの使い方☆

イクス・イグナイトは異暦96年にサナに拾われてテリナ支部にやってきました。サナはナイツロードでもっとも付き合いの長い人物の1人であり、イクスが全幅の信頼と安心を寄せる人物です。(恋愛感情に発展していないのは、彼がそういう精神状態にないか、単純にシャイだから想いを伝えられていないか、或いはその他何らかの奇跡のいずれかです。)

その為、イクスの人間関係は自然とサナの知り合いを中心に広まっていくと思われます。

 

例えば───

彼は喫茶店「キング」に顔を出すかも知れません。彼はコーヒーを飲めないのできっと紅茶を頼むか、コーヒーを飲むにしてもエスプレッソに砂糖を山盛りに入れて飲む(本場の飲み方ですよ!)かも知れません。

 

また彼はジジのことは確実に知っているでしょう。実はイクスはああ見えて猫吸いとかするタイプです。

 

また彼はウォーネス・メルオデスの事を知っているかも知れません。かつては騎士を志していたイクスはウォーネスの武士としての生き様に興味を持つかも知れません。

 

また彼はフィリアス・ミューレイドがナイツロードに居ることをサナを通じて知っています───。

 

そして、が本部に居ることを彼はまだ知りません。

 

レストのメンバーとの関係性も記しておきます。

P.C.ことアンドレアス・コックスはイクスにとっての師であり、面倒見のいい親戚のオヤジのような存在でもあります。P.C.はイクスの「いずれ人の先頭に立ち導く存在」としての才能を見出し、レスト隊長の役職を提案しました。

ユエラオもまた師の1人であり、先述の通りイクスにインヤンウーシンや風水視を授けています。

ラッキーマンはイクスにとっての無二の親友であり、ラッキーマンにとってのイクスも同様です。風水視によってラッキーマンの能力による不運を回避できるからです。

 

イクスは見た目こそ厳つい人物ですが、わりあい寛容であり頼み事をされるとなんだかんだで断れない人物です。また、彼は正義感を持ち合わせた人物ではありますが彼自身は正義論を語りたがりません。

これは、自身の事を「正義を振りかざす程には自分は殊勝な人間ではない」と思っていることが1つ、そしてもう1つに「正義とは行動で示すものであり、他人に言葉で押し付けるものではない。ただ、自分の行動を見て感化される者が居れば幸いだ」という考えを無意識に持っているからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

能力:ビヨンド・ザ・C

とある任務で死地に陥ったイクスが、初めて生にしがみついたその時に開花させた『C・モール』のその先、進化した能力。

炭素を含んだ物質、多くは"有機物"に生命エネルギーを流し込み「生命を上書き」する能力。

応用は無限大に効く能力であり、『C・モール』で生み出した炭素を炭素繊維のアーマーを装着した烏に変化させて襲わせたり、自身の身体の一部、或いは全身を変化させたり、傷を一瞬で治療したりできる。

生物の複製体……炭生物を作る時はその生物に一度触れる必要がある。その際副次的な能力としてその生物の身体構造を詳細に把握することができる。(薬課に行けば?とか言ってはいけない)

ただし複製体を作れるといっても"魂"までは複製できない。炭生物には多少の知性がありイクスの指示に従うが、人間様の知恵までは持ち得ない。当然死んだ人間も生き返らない。

炭素を含んでいればなんでも能力の効果対象であるが、他の生命。特に"人間"に使用した場合は代償が発生し、肉体年齢が"若返る"

イクスはこの能力をとある魔王に行使した。結果───。

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(画像仮置き)

現在(101年時)は『ビヨンド・ザ・C』で肉体を変化させていない素の状態では、肉体年齢が12歳頃のものに逆戻りしている。

平時からこの能力で大男の体格を維持するのはやはり消耗が激しいようで、イクスはかなりの大食漢だ。

また、彼がフィジカルに頼らず弦を用いた堅実な立ち回りをするもう一つの理由でもある。

ナイツロード 閑話:スメルズ・ライク・ティーン・スピリット

101/10/14 本部医療棟302号室監視記録映像


<抜粋開始>

病室の入り口から入って右奥のベッドに少年は居る。半身を起こした状態で本を読んでいる。装丁は古めかしく、小説の類ではないらしい。ページをめくるその早さは、少年がカメラアイの持ち主であることをうかがわせる。

横の机には様々な見舞いの品が置いてある。来客の数は少なくないらしい。

 

病室のドアがためらいがちにゆっくりと開く。迷うかのようにドアが完全に開き切るまでに1、2度停止して───、女が顔を覗かせる。

この女の来訪は彼にとっては予想外であったようで、少年は目を丸くして本を閉じる。

 

「君が来るなんて意外だなぁ。てっきり僕のことは避けてるのかと思ってた。」

「あぁ、いえ……」

「来てくれて嬉しいよ」

 

女はおずおずと少年のベッドに歩き寄り、横の机に持っていたバスケットを置いてから椅子に腰を下ろす。

 

「サンドイッチ?丁度小腹が空いてたんだ。頂いても?」

「どうぞ」

 

少年は読んでいた本を横に置き、女の持ってきたバスケットを膝下に持ってくる。他の見舞い品───果物や菓子には手は付けられていない。

 

「手作りだ───。、トマトが入ってる」

「……」

「サンドイッチは……トマトが入ってるだけでグレードがワンランクアップしたみたいなお得な気分になるんだよな〜〜〜。───うん、ン、うン。

───おいしい

「それはよかった」

 

女の表情はカメラの角度からはうかがい知れない。

 

「その本は」

「これぇ?シリウスさんに借りたんだぁ。星の魔術の本」

「病床でも勉強ですか。今ぐらい、素直に休んでもいいのではないですか?」

「いやぁ、好きでやってるからね〜〜〜。───ンむ、ムグ───ウん。おもしろいよ、魔術の勉強は。シリウスさんの魔法は見たことある?」

「えぇ」

「綺麗だよねぇ、あの人が魔術を発動するたびに───、星がキラキラきらめいてさぁ……」

 

空の星を掴むように、少年は空に手をかざす。

実際に手の先にあるのは病室の蛍光灯だ。

 

シリウスさんは、星の魔術を───、隕石を降らせたり重力を操作するのに使ってる。でも僕はちょっと違う使い方を考えてるんだ。

───宇宙への入口(ポータル)を開きたい

「ポータル?」

「そう、ポータル!」

 

少年は指を鳴らした。

 

絶対零度の宇宙空間へのポータルを開いて───、冷気で相手を攻撃する。或いは、そのまま宇宙にサヨナラ……ってのもいい。まだ思い付きでしかないけど、いつか完成したらシリウスさんに見てもらいたいなぁ!」

「なるほど……」

「あー、ごめん!ちょっとオタクっぽい語り口になっちゃった───。マぐ───、ンん、僕だけべらべら喋っててなんか恥ずかしいな」

「いいんです、ただ───、1つ話したいことが……この前の任務のことで」

「あー、この前の───。ウン───、そうだお礼を言い忘れてた。"そっち"が敵部隊を陽動してくれなかったら危なかった」

「ええ、まさにそのことなのですが───。随分……大きな傷を負ったじゃあないですか。貴方……」

「ン、ほんのかすり傷程度だ」

「Ⅱ度熱傷、下腿解放骨折、外傷性気胸───生きているのが不思議な程だと医者が言っていました」

わぁ、ははっ、そうやって聞いてみると……我ながらすごいなぁ。んー、でも生きてるよ。ほら!このとーり」

「次の任務で死にますよ」

「かもね」

 

少年は指に付いたソースを舌で舐める。

 

「でもさ、騎士ってそういうもんじゃあないかな。僕たちは───、婦女子や虐げれる弱者、傷付いた者を守る為に命を捨てる誓いを立ててる。『騎士は───、端から生きようなどとは考えないし、考えちゃいけない』わからないとは言わせない

「それは……ッ、わかります、わかりますが………」

 

言葉を詰まらせる女を尻目に、少年は2つ目のサンドイッチに手を伸ばす。

 

「卵サンドイッチ───、地味だが侮れないんだよな〜〜〜コイツは。ランチパックも卵が1番うまい……」

「エクス君───」

「そうだ、この前ヒートちゃんと手合わせしたんだ。彼女、すごいよねぇ。時間を見つけたらずうっと訓練所に通ってる。強くなることにひたむきで、正義感も熱い。皆にも優しいしね。ああいう子は好きだなあ。……いや、好きって"そういう意味"じゃないよ。───ムぐ、もグ……」

「わかりますよ。わたくしも、あの子の人柄には惹かれます」

「でも、騎士じゃない。あーいうの、なんだろうなぁ───『英雄』、かな。そう、英雄って感じだよ。うん。ああいう子は、死なせちゃダメだよ?」

「わかっています……。───」

「うん?」

「最近クアットロさんにあなたの噂をよく聞きます」

「どんな噂?───モぐ───」

「自身の身をかえりみない行動が多すぎると」

「ははっ……、まぁ」

「笑いごとじゃあないんですよ。ライリー君が、酷く落ち込んでいます」

「ライリーが?なんで」

「貴方……あの任務でライリー君に何をしましたか」

「いやー、別に……」

 

少年はバツの悪そうな表情をして目を逸らす。

 

馬にくくりつけて1人で撤退させたんですよね?敵の急襲部隊が迫る中……ッ」

「……仕方なかったんだ。急に背後から襲われたもんだから、他のメンバーとは上手く分断されてしまって───、あの時一緒に居たのはライリーだけだった」

「一緒に戦えばいいでしょう」

「───ライリーは戦える状態じゃなかった」

「負傷でもしていたのですか?」

「負傷は2人ともしてた。けどそれは問題じゃない。傷は治癒魔法で治せる───。ムグ……ウん。ライリー、あの人───、人殺したことないだろ

「どうでしょう」

「ないよ、見たらわかる。人を殴ったことはある。殴られたことも。……でもトドメを刺したことはない。そして、『ホンキ』死にそーってなったことも、多分そうはない───。マぐ……ウん」

 

2つ目のサンドイッチを食べ終わった少年は息をつく。

 

「プフ〜〜〜……。ライリーは……心が折れてた。土手っ腹に喰らったのがよくなかったんだろうな……。あの状態で闘ったら確実にやられる───。ライリーは……死なせるには惜しい人だよね」

「だから貴方1人で敵に突っ込んだと?貴方は死んでもいいんですか……!?

いいよ、別に───。大体人のこと言えないだろ、君も。ウォルターさんを庇って1、2週間お休みしてたのは……誰だったっけ?」

「それとこれとは話が───」

 

───こうして2人が言い争いできるのも、病室にいる患者が少年1人だけだからだ。他に患者が居たらナースコールを押されていただろう。

少年はバスケットに目を落とす。

 

「最後のはピーナッツサンドか……。もう腹八分目だから、これは後で食べるよ」

 

そうしてバスケットを机に置いた彼は、しかしまだ15の成長期真っ盛りの少年だ。サンドイッチ2枚で腹八分目は相当に胃の許容量が少ない。

実際、布団から覗くその二肢は筋肉こそ付いてはいるが、同年代の同僚と比べ明らかに白く細い。

 

「ふぅ〜〜〜、"昔っから"そうだけどさあ。自分はあれこれ仕事を任されるくせに、他人の心配も人一倍……、人二倍する。なんでもかんでも背負い込むと潰れちゃうよ。もう少し他人を信じたほうがいいよ───。そんなに頼りないかなぁ僕」

「そういう訳ではありませんが……。ただ、わたくしは貴方にもっと自分の命を大事に───」

そうそう!テルモちゃんにお礼言っておいてほしいなぁ。ヘリの中で、傷口を炎で焼いて応急処置してくれたんでしょ?僕はあまり『覚えてない』んだけど───」

「……エクス君」

「フィリアスさん?」

エクス君!」

「な、なに?」

 

女の表情はカメラからは見えないが、張り上げたその声色には怒りというよりは悲痛なニュアンスが含まれている。

 

「な、なんだよう」

「貴方……わたくし達が助けに来た時……なんて言ったか覚えてますか?」

「な、なんて言ったかな……」

『大丈夫』って言ったんですよ貴方、心配して駆け寄ったシオンさんに対して『大丈夫、大丈夫』と……」

「あーー、言いそ〜〜〜〜〜〜

「………ッ、それでなんとか敵を退けて……そしてボロボロになった貴方を心配する皆に、なんて言ったか覚えてますか?

「………えーーっとォ」

『大丈夫』って言ったんですよ。真っ青な顔して謝り倒すライリー君に対して『大丈夫』と……!大丈夫じゃないのに……ッ」

「あの時は大丈夫だと思ったんだよ〜〜〜」

なるほど?それで……ヘリの中で貴方の元気がないことに気づいたダンツ君になんて言ったか。───覚えてます??」

「お、覚えてない……」

『眠くなってきたから寝てもいいかな』って言ったんですよ貴方!!」

「あぁ、言ったァ……」

「貴方……!普段戦闘時にキショク悪い鉄の『仮面』被ってますよね……!?」

「キショク悪くはないッ!」

「あの時貴方はライリー君の肩を借りて"寝て"いました……。えぇ、『仮面』被ってたから皆最初は気付かなかったですよ…….!ウォルターさんが何かおかしいと勘付くまではね………!仮面を剥いで『ブルーチーズ』みたいに真っ青な貴方の顔を見たライリー君がどんな顔したかわかりますか!?自分の肩を借りて寝ている戦友が!現在進行形で死体に変わりつつあることを知ったライリーの心境を!

一生癒えないトラウマを植え付けるつもりですか!!?」

 

一息にまくし立てた女は、いつのまにか上げていた腰を椅子に落ち着ける。 

 

「ハァ……ハァ………、貴方───、普段はいいだけ人に甘えといて……どうして肝心な時に何も言わないんですか……?本当に死んでしまいますよ───」

「………」

「貴方まで死なせる訳にはいかないんです───」

「…………」

「貴方には……未練というものはないんですか……?」

「………………ない」

「本当に何もないんですか……?ナイツロードに来て友人だってできたでしょうに───」

 

ここに来て少年は、初めて怒りのような感情を表情に込める。

 

「………ッ。未練なら!95年に『死んだ』よ……!君が僕の『兄さん』を見捨てて逃げたあの日だ!僕はもう大切な人に先立たれるのは嫌だし……!君が誰かを庇って死にかけるみたいなことするなら……僕が先に"そうする"しかないじゃあないか!君が死ぬより先にさっさと死なせてくれれば、僕はそれで満足なんだ!!

 

感情的にわめく少年は、そこで女の顔を見て何かに気付く。

 

「───あっ………。ごめん………、今のは……意地悪な言い方だった………。ごめんなさい───」

「………いえ、いいんです……ごめんなさい、こちらこそ……無神経なことを言って───」

 

打ちのめされたように、女は"やおらに"立ち上がった。

 

「………そろそろ行きます……。しっかり養生してくださいね」

「あ、あぁ……」

 

病室のドアに向かう女の顔は悲愴に満ち溢れている

 

「フィ、フィリアスさん」

「はい?」

「あの、サンドイッチ……美味しかった。───ありがとう」

「───どういたしまして」

 

女が病室を去り、1人になった少年は手で顔を覆う。

<抜粋終了>

エクス・イグナイト キャラシート

エクス・イグナイトは、第2代ポンメル男爵スィー・イグナイトの第10子として、産まれながらに腕無しの不具、出来損ないとしてこの世に生を受けた。

彼の家系は"顧みられぬ騎士(イグノア・ナイト)"の末裔であり、異端審問官や処刑執行人、政敵暗殺等の仄暗い仕事を請け負う汚れた血統であり、柄頭(ポンメル)は常に王国の影であり続けていた。

不具の出来損ないであったエクスは腕無し故に親兄弟から虐待され、彼の傍らに居るのはエクスと同じく不具の出来損ない───片目無しの第9子、イクスだけだった。

ある時、兄イクスは弟に提案したと言う。

「このままこの家に居続けても暗い部屋の中で飢え死にするだけだ。ここを出ていこう。そしてここじゃないどこか、ぼく達が虐げられない自由なところへ───」

この時イクスの歳は5つ、エクスは3つであったのだが、エクスは幼いなりに兄の言わんとしていることを理解していた。

───家を出た所で行く宛などどこにもない。外で生きていける筈もなく、どうせ飢え死にすることは避けられない。それでもここで死ぬよりはマシだ。どうせ死ぬなら、空を見ながら死のう。

兄弟の覚悟は悲壮であった。

屋敷を脱出した兄弟はひたすらに歩き続けた。初めて見た暗い部屋の外、往来の景色は光に慣れぬ兄弟の目には眩く思えた。そして、兄弟は1人の少女に目を留めた。

歳はいくつか上に見えた。貴族なのだろう、仕立てのいい華やかな純白のワンピースを着ていた。そう、その少女は何もかも白かった、瞳孔に嵌った2つのルビーの瞳を除いては───、唯ひたすらに白く、白く、白、白、白!

往来の中で間違いなく、少なくとも兄弟の目にはもっとも輝いて見えた。

───羨ましい。アイツはぼく達が持っていないモノを全て持っている。

ルサンチマンが少年達の心に黒い染みの様に広がっていく。見当違いの嫉妬心は、兄弟に欠けていたある感情、汚い生存欲求に変化した。

つまりは、狙いは少女の肩に掛けているバッグだった。

つまりはそう、強盗を企てたのだ。そして───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でもさ、騎士ってそういうもんじゃあないかな。僕たちは───、婦女子や虐げれる弱者、傷付いた者を守る為に命を捨てる誓いを立ててる。『騎士は───、端から生きようなどとは考えないし、考えちゃいけない』わからないとは言わせない」

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エクス・イグナイト

身長:159cm

出身:パンタシア南部 シエラーダ王国

ナイツロード本部 剣課 101年入団(当時15歳)

 

概要:エクス・イグナイトは、対外的には人懐っこく社交的な少年として知られている。神出鬼没で何処にでもいて、杖課の研究室にいることもあれば鎚課の工房を借りて何やら製作している所を見た者もいる。

産まれながらに腕の無い彼はペイジ(騎士見習いとして他家に召抱えられた者)の頃に主人から義手を賜っており、これを使いこなす為に様々なことをやってきた。剣術は言うに及ばず、楽器演奏や魔法陣の記述に機械工作。思いついたこと、興味を持ったものは何でも試し、身に付けてきた。幼いながらにエクスは、新たな物事を知る歓び、勉強することの楽しさを知っているのだ。

最愛の兄は異歴95年のとある出来事によって死んでしまった。兄弟共に尊敬していた"あの人"の身代わりになったのだ。騎士らしい栄誉ある死だったと納得しているし、エクス自身、同じ様に死ねるなら本望だろう。

先駆後駆(さきがけしんがり)が信条であるエクスの戦い方は、勇敢であるようにも見え、だが危なっかしいものでもある。

 

一人称:僕

二人称:君、〇〇ちゃん、〇〇さん、おまえ

三人称:あの子、あの人、あいつ

 

好きなもの:勉強や修練(手を動かせるものならなんでも)、サンドイッチ…できればトマト入り(すぐ食べ終わるから)、ブラッドソーセージ(任務後によく食べる)、クラシック音楽、年上の人に甘えること、栄光

嫌いなもの:努力しない人間、生き恥、揚げ物(昔フィッシュ&チップスで当たった)、他人に心配されること

特技:ピアノ演奏、痛みを我慢すること

普段の行動:よくいるのは訓練所で次に杖課、或いは鎚課。たまに孤児院に行ってピアノを子供達に聴かせていたりもする。どうも曜日によって行く場所を決めているらしい。剣課なので歳の割に稼いでいるはずだがその稼ぎの多くは教会に寄付しているので残高はあまりないが、本人はこれを清貧と嘯いている。常に何かしら作業をしていて、食事は面倒臭いので軽食で済ませている。任務の前日は必ず教会でお祈りをしているが、そうでない日でも立ち寄ったりすることもある。

 

能力:贄血の魔法"御心の刃"

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流血した自身の血液を魔力に変換して発動する広義の生贄魔術に分類されるもの。少ない魔力、或いは魔力消費無しで撃てるこの魔法は、元々は魔力が尽きた時の非常用、或いは魔力に乏しい者が使う"貧者の魔法"であった。

だが特定地域ではこの魔法を、手負いの騎士が最期の散り際に放つ自爆攻撃としての運用を見出され独自の発展を遂げていった。その最たるものが心臓に刃を突き立て剣身を血に染めることで発動する「御心の刃」であり、これは贄血の魔法の中でももっとも誉高い魔法とされ、故にその国では"赤"は最優の象徴でもあった。

この"栄誉の魔法"は自身の命と引き換えに放つ大規模魔法だが、エクスは治癒魔法を並行して使用することで強引に連発を可能としている。正気の沙汰ではないが、故に強い。

 

 

☆エクス・イグナイトの使い方☆

エクス・イグナイトは一見人懐っこい子猫のようなキャラに見えます。好奇心が旺盛で興味を持ったものは何であれ、それをよりよく知りたいとせがむことでしょう。誰と絡ませても違和感は少ない筈です。

 

例えば───

彼はデルタ・アリーシアの製作する様々な機械に対してきっと関心を持つことでしょう。デルタから教えてもらった知識を自分の義手に組み込んだりすることもあるかもしれません。

また彼はベルベット・ブラートの身体に興味を惹かれることでしょう。ベルベットが自分の身体を詳しく観察させるかは分かりませんが。

 

とはいえ、エクスもまた騎士の端くれ。相性がいいのはやはり剣術を扱う人間かもしれません。

 

例えば───

彼はヒート・スピリアに対してある種のシンパシーを覚えることでしょう。彼女の強さへの執着はエクス自身重なる所がありますし、性格面の相性も多分いいでしょう。あと彼女の思わせぶりなコミュニケーションにエクスが何か"勘違い"することもないでしょう。彼はそこら辺さっぱりしているので。

 

また彼はフェダ・ドゥランの巧みな魔法と剣術の技に魅了されることでしょう。フェダの技術を獲得する為に躍起になるに違いありません。

 

一方で彼はいささか無私が過ぎる一面があり、側から見れば命を捨ててるように見える行動を取ることもありますが、そういう時彼は決まって「男の子なんだから、これくらいへっちゃらだよ!」と嘯きます。

それに対して"まぁ、本人がそう言ってるなら"と思うキャラもいれば"おいおい本当に大丈夫かよ"とツッコむキャラもいるでしょう。

この破滅思考の根源は最愛の兄の死(少なくとも彼は死んだと思っている)によるものであり、兄の死が英雄的であったと自分を納得させ自分もそれに殉じようという考えからくるものです。

また、エクスはあの人のことを恨まないようにしていますし、仕方なかったことだと思っています。彼は未だにあの人のことを尊敬していますし、あの人の為に命を投げ捨てることもきっと厭わないでしょう。もっとも、あの人は後ろめたさもあってかエクスのことを避けているようですが。

 

 

最後に、エクス・イグナイトは"異名同音"をテーマにその成り立ちを再設定しました。即ち彼は"重嬰へ"であり"重変イ"なのですが───、このことについて考える必要はないでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───この話から得るべき教訓は次の通りだ。

"襲う相手は良く吟味しろ"

兄弟2人はこともなげに返り討ちにされた。

KR EP:Rest 主要キャラ紹介

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスはこれらの言葉をことごとく人々に聞かせてしまったのち、カペナウムに帰ってこられた。

 

ところが、ある百卒長の頼みにしていた僕が、病気になって死にかかっていた。

 

そこで、イエスは彼らと連れだってお出かけになった。ところが、その家からほど遠くないあたりまでこられたとき、百卒長は友だちを送ってイエスに言わせた、「主よ、どうぞ、ご足労くださいませんように。わたしの屋根の下にあなたをお入れする資格は、わたしにはございません。 

 

それですから、自分でお迎えにあがるねうちさえないと思っていたのです。ただ、お言葉を下さい。そして、わたしの僕をなおしてください。

 

 

ルカによる福音書 第7章 第1、2、6、7節

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※タロットの解釈はそのキャラクターを表すというよりも、主人公のイクスにとってそのキャラクターがどういった存在なのか。という意味合いが大きいです。

 

 

イクス・イグナイト

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"正位置の月"

不安定、幻惑、現実逃避、潜在する危険、欺瞞、幻滅、猶予ない選択、踏んだり蹴ったり、洗脳、トラウマ、フラッシュバック。

 

死の派閥の研究所に居た従騎士の少年。

過去の何かしらのトラウマからPTSDを患っており、度々フラッシュバックで精神が不安定になったり、不眠症に悩まされている。

強い希死念慮を持っており、死に場所を求めてナイツロードに入団した。

 

能力「C(ツェー)・モール」

様々な形態の炭素を生成したり、周囲の物質と炭素を組み合わせて複合材や炭素化合物を生み出す能力。

例えば炭素の粉末を生成させてから火を付けて粉塵爆発を起こしたり、空気中の酸素と炭素を結合させて一酸化炭素を産み出せる。

カーボンナノチューブを編んだワイヤー「弦(ガット)」は様々な応用が効き、物質の切断や拘束、地面の素材に「弦」を絡ませた防御壁を隆起させることなどができる。

 

少年ながら類い稀なるフィジカルの持ち主であり、従騎士でありながら徒手空拳で闘う。元より彼に騎士は向いていなかったのだろう。

 

 

サナ

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"逆位置の死神"

再スタート、新展開、上昇、挫折から立ち直る、再生、起死回生、覚醒、転生、輪廻転生、コンティニュー。

 

任務先の研究所でイクスを拾った戦闘狂の女。

異世界出身である彼女は名のある武家の末裔であり、武士や騎士の家系の者には肩入れしてしまう気質。それ故、従騎士であるイクスのことを何かと気に掛けている。

 

そして、彼女もまたイクスと同じく死を望んでいる。死こそが解放へと繋がる唯一の道なのだから。

 

能力:「フラッシュダンス

コートの内側に外部から観測できる以上の容積を収容できる。サナのコートには常に多種多様な銃火器が収納されているようだ。

厳密に言えばサナの能力ではなくコートそのものに付与された特殊効果。彼女の元いた異世界の技術で作られたもので、光エネルギーを用いたものであるらしい。

 

P.C.

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"正位置の吊るされた男"

修行、忍耐、奉仕、努力、試練、着実、抑制、妥協。

 

能力「ザ・ハイエイタス」

手から黒い楔とそれに連なった鎖を生み出す。楔は物体に当たると透過するように突き刺さり、ダメージを与えられない代わりにその物体の時間の流れを止める。能力の影響下にある物体の挙動は以下のルールに則る。

1.時間の止まった物体はいかなる者からの干渉も受け付けない。触ることはできるが動かすことも破壊することもできない。

2.能力によって生み出された楔だけは上のルールの例外であり、鎖を引っ張ることでそれに追随するように時間の止まった物体を動かせる。

3.P.C.が手から鎖を離したり、外部からの衝撃で鎖の一部を破壊されると鎖は急速に自壊していき最終的に鎖に連なる楔も破壊される。

4.楔が破壊されると能力は解除される。

 

 

ラッキーマン

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"正位置の運命の輪"

転換点、幸運の到来、チャンス、変化、結果、出会い、解決、定められた運命、結束。

 

能力「ゲット・ラッキー」

周囲の人間の幸運を吸収する常時発動型能力。例えばラッキーマンと周囲にいる人間は唐突に銃が故障したり目にゴミが入ったり瓦礫を踏んで転んだりする。

 

 

ユエラオ

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"正位置の隠者"

経験則、高尚な助言、秘匿、精神、慎重、優等感、思慮深い、思いやり、単独行動、神出鬼没、変幻自在、難解。

 

能力「インヤンウーシン(陰陽五行)」

インヤンウーシンは、今日ではマギーア界陸チャーナにおいて生み出された魔術体系の1つとして認知されており、大雑把に言えば引力と斥力、火・水・木・金・土の5属性を操る魔術として説明されているが、実際の所これらの魔術は、世界を如何に観測し解釈するかという"自然哲学"の延長に過ぎない。

インとは陰、"求心力、守勢、死"などとして解釈される。ヤンとは陽、"遠心力、攻勢、生"などとして解釈される。これら2つに加えて火・水・木・金・土の五行を合わせてインヤンウーシンとなる。

パンタシア界陸で普及している一般的な魔術体系とは解釈やアプローチを異にする体系であり、比較的マイナーなものではあるものの、研究によれば諸島アズマにインヤンウーシンの文化が流れ着いているという記録もある。

ユエラオは"陽"と"水"の扱いが得意なようだ。

 

 

あの人

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"正位置の死神"

停止、終末、破滅、離散、終局、清算、決着、死の予兆、終焉、消滅、全滅、満身創痍、ゲームオーバー、バッドエンディング、死屍累々、風前の灯。

 

 

イクスが時々口にする存在、どうやら少年はこの人物に死ぬよう命じられたらしい。

 

 

そこで見ていると、見よ、青白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者の名は「死」と言い、それに黄泉が従っていた。

 

ヨハネの黙示録 第6章 第8節

KNIGHT ROAD EP:Rest (Before 98)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

She's a supernova

彼女は超新星

 

I was reaching out for

僕は手を伸ばした

 

I heard her footsteps

彼女の足音が聴こえた

 

fading away from me

僕から遠ざかっていくんだ

 

 

Supernova/ELLEGARDEN

 

 

 

 

 

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Ouverture

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「誰だ、おまえは…。おまえが、殺してくれるのか…?

───そうだ。俺は、死ななくてはならない。あの人が、そう命じた……」

少年はそう独り言ちてから、糸の切れた人形のように"どっ"と倒れ伏した。

 

 

Op.1 No.1「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」

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───保護したのはいいが、少年の独り言の内容が少し気になる。私はもしかして要らぬ節介を焼いているのではないか?

 

Intermezzo

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No.2

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「───貴方、あの時"死ななくてはならない"とか言ってたわね。"あの人"が命じたとかなんとか……」

イクスの眉間の皺が深まる。

「それも、言いたくないのね」

少年はますます口をつぐんでしまったので、仕方なく今日は話を切り上げることにした。

 

No.3

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少年の傷も完全に癒えて復調したので、基地の中をバイクに乗って案内することにした。

『ナイツロード』

今、世界を脅かしている一大勢力『VICE』に対抗すべく組織された傭兵団であり、私達がいるのはゲオメトリア界陸に位置する「テリナ支部」という所だ。

「どう、イクス?中々大っきなとこでしょ?そんじょそこらのPMCとは格が違う」

「うん、噂を耳にはしてたけど……

───!?サナ、あれは」

イクスが湾岸の方を指差す。

「ビルが……海に浮かんでる」

「へーぇ、丁度やってきたんだ。運が良いわね貴方

アレはナイツロードの本部よ。"レヴィアタン"、要はデカい船よ」

「船の上に……街がそのまま乗っかってる」

「私はまだ行ったことないけど、聞いた話じゃ船の上を電車やらバスやらが走ってるらしい」

「───すごいな」

───バイクを停めて暫くレヴィアタンを見ているとイクスが私に問いかけてみた。

「サナ、俺はこの後どうなるの?」

「そうねぇ、多分貴方が元いた国……。なんだっけ?パンタシア界陸のとこに帰してくれるんじゃ───」

「嫌だ、俺は……ナイツロードに入りたい」

「───本気?貴方」

「死に場所には、悪くない」

「ふぅん……?そう。なら、お伺い立ててみる?」

「誰に?」

私は上を指差した。

「ここのボス」

 

順次更新予定