これは、マギーア界陸のとある貴族に起きた悲劇だ。その赤子は"多毛症"と"アルビノ"を併発してこの世に生を受けた。産んだ母親は子の姿を見た瞬間に気絶した。父親は狂乱して母親と子を詰った。
子の存在は世間的には無かったことにされ、4歳の頃に奴隷商人に売り渡された。少年の買い手はサーカス旅団の団長だった。
サーカスで少年は人としての勉強を教わることはなく、ただ芸のみを教え込まされた。団長は少年を"猿"として扱っていた。
少年もまた自分を"猿"だと思っていた。前の親も今の親も、人として扱ってくれる者がいなかったからだ。少年には異能があった。遠くの物体を手で掴んで放るように操ることができる。
「猿の遠隔お手玉」はサーカスのちょっとした目玉となった。少年はその風貌から「北極猿」と呼ばれた。
もっとも、目玉となっても少年の扱いは変わることはなく相変わらず家は動物用の檻だったし、客も彼を猿と思っていた。「北極猿」が注目されたことが結果的にはサーカスにとっては致命的になった。
獣人を奴隷扱いし金儲けしていると勘違いした「呀」の派閥に襲撃され、北極猿は「呀」の派閥に迎え入れられた。
だが扱いは今も変わらない。派閥の皆は少年を"猿"だと思っているし、少年も自分を"猿"だと思っている。───「呀」の派閥は獣人の集い、そこに人は居ない。今や少年の周りには数多の獣人がひしめき合っていたし、派閥の皆は少年を同胞として扱った。
「北極猿」は幸せだった。
「ウキィィイイイキキャキャアアァ──────ッッ!!!」
(本名不詳)
身長:162cm
異名:北極猿、ブライアン
出身:マギーア界陸ラグライア
VICE:呀の派閥 猪勇士配下 中級戦闘員 年齢不詳
概要:ブライアンは猿だ。少なくとも周りの人達からはそう思われて生きてきた。教育の類は受けさせてくれなかったので字の読み書きはできないし、話もつたない。それでも愛嬌はあったのでどうにかこうにか今まで生きてこれた。
ブライアン自身が自覚してそうしている訳ではないが、彼は皆に"猿"として可愛がられることで自らの立場を築いてきた。人の生き方ではないがそれが彼なりの処世術だったのだろう。
だが「呀」の派閥に入ってから彼は皆から対等に扱われるようになった。この変化に当初は困惑していたようだが、徐々に受け入れ始め今では中級戦闘員として活躍している。
ブライアンは素直だ。そして無邪気であり幼い。可愛がられるのはここでも変わらないようだ。
一人称:ゥオレ
二人称:オマエ
三人称:アイツ
口癖は「ウキッ」「キィッ」「ウキィイイイィアァアア──────ッ!!!」等
好きなもの:スースに頭を撫でられること(頑張ったら、パパ、ウ、ゥオレのこと、なでてくれる)、皆に可愛がられること(ゥオレも、みんなのこと、だいすき……!)
嫌いなもの:頭を使うこと、勉強
特技:遠隔お手玉
普段の行動:力仕事があればブライアンに頼むとよい。物運びなどの雑用はブライアンの十八番だ。余興が必要ならそれもやはりブライアンの出番だ。サーカス時代に学んだ芸を見せてくれるだろう。ブライアンが仕事を終えたら頭を撫でてやるとよい。
能力:『テディ・ピッカー』
離れた物体を掴むことができる一種のテレキネシスとでも言うべき異能。
より正確に言えば本体の手の動きと連動する不可視のオーラを高速で飛ばす能力であり、対象が遠くであれば遠くであるほど能力で干渉するまでにラグが発生する。
本体の握力は凄まじいものがあり、ただ遠くの物体を掴むだけのこの能力はただそれだけで充分な破壊力がある。
⭐︎北極猿、ブライアンの使い方⭐︎
ブライアンはずばり"マスコット枠"として作りました。つまり小さく、幼く、無邪気というのがブライアンです。
ブライアンにとってスースは「パパ」であり、"呀"の派閥の皆は「兄」であり「姉」です。なんであれ可愛がってあげるといいでしょう。
そしてブライアンは皆の為に身を粉にして働くことを苦に思わないでしょう。
例えば───
ブライアンはスースに親愛の情を寄せています。ブライアンの行動理念は概ねスースに褒められることが目的と言っていいでしょう。
例えば───
ブライアンはミフネと遊ぶことがあるかもしれません。
話が通じ合ってるかは分かりませんが。
頭はよくありません。小難しい話は理解できないでしょう。話の仕方は「12+24……は、う、うーん……わがんねぇよう、ゥオレェエ……!」といった具合です。
忘れてはいけません。ブライアンは"猿"なのです。皆にとってはね。